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『独り言の記憶』にお越し頂きありがとうございます。
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グッドベアー

「グッドベアー」と彼女は言った。
「グッドベアー?」
「うん。あそこの看板に」
 左前方を指差す。薄汚れた白いプラスチックに、ピンク色の文字が幾つか並んでいる。
「グッドヘアーだよ。美容院」
「あ、ほんとだ」
「グッドベアーって……良い熊?」思わず笑ってしまう。
「うん」彼女もくすくすと笑う。「良い熊」
「もりのくまさん的な? イヤリング拾って届けてくれるの?」
「あー、そうかも。“お嬢さん、お逃げなさい”って言うの」
「でもなんで“お嬢さん、お逃げなさい”なんて言ったんだろ」
「グッドベアーだからじゃない? 紳士のような良い熊」

*

 クラムボンの『LOVER ALBUM』を借りた。カバーアルバムということで「微妙かな」と思って避けていたんだけど、ある日とある動画で『波よせて』を聞いて打ちのめされた次第。『波よせて』は本当にクラムボンの曲になっててびっくりする。特に後半のコーラスが入るとこなんか最高。ほかにもYMOの『以心電信』や岡村靖幸の『カルアミルク』のカバーがいい味出てる。あと、一発録りで失敗したのか「あれ? あら?」とか言ってる曲や、「これは泣けるだろ〜」とかコメントが最後に入ってる曲があったりして、なんだかとても楽しそうな一枚だった。
 最近はSpangle Call Lilli Lineもじわじわハマってきてる。ゆったりと広がるような雰囲気の曲が多いんだけど、途中で曲調ががらりと変わるのが面白い。

 高架下にあるパスタ屋さんにパスタを食べに行った。いつも行列ができていて、前を通るといい匂いがするので気になっていたのだ。行列ができているのは、店の中に待つスペースがなく、外で待つしかないためだった(ラーメン屋みたいだ)。寒い寒いと言いながら並ぶ。十五分くらいで中に入ることができた。店の中には所狭しとテーブルが並んでおり、たくさんの人が食事を楽しんでいて賑やかだった。照明は暗めで、内装は木で統一されていて温かみがある。何分かおきに響く、電車の通る音と振動がなければ、高架下だということを忘れていただろう。カルボナーラとサラダとケーキセットを頼んだ。どれも美味だった。隣の席のカップルがリゾットを頼んでいて気になった。
 モスでごちそうツナバーガーを食べた。ブイヤベースって何かをよく知らないままブイヤベース仕立てを頼んで、出てきたものを食べたらメカジキの煮付けの味がした。「ブイヤベースって甘辛いんだ?」と言ったら「それは店員さんが生姜醤油と間違えたんじゃなくて? 替えてもらったら?」と言われた。確かに写真では赤いはずのソースが茶色い。それでもまあいいかと思って食べてしまった。というわけで僕の中のブイヤベースは茶色くて甘辛い。
「美味しいいちご大福が食べたい」とお嬢様が仰ったので、できの悪い執事の僕は15km先の和菓子屋へと車を走らせた。助手席のお嬢様にナビを頼んだら、本人も長らく行ってないお店らしくて道に迷った。挙句、駐車スペースが小さくて斜めに突っ込み、出る時に難儀した。いちご大福と栗大福を食べた。皮が柔らかくて美味しかった。たまにいちご大福でシュワシュワするのがあるけど、あれってちょっと時間がたって発酵してるからってのは本当なんだろうか。ちなみに今回はシュワシュワしなかった。

やっぱりちょっと前のこと

 スーズのミニボトルを買った。三分の一をトニックで割って、三分の一をジンジャーエールで割って、最後の三分の一をもう一度トニックで割って飲んだ。土とか根っことかの味がした。これは薬だと思った。甘くて苦い黄色いシロップだ。なぜか懐かしい。
 においをかいだ白い針は一言「高麗人参だね」と言った。僕がにおいをかいで懐かしいと感じたのは、昔通っていたそろばん教室でお土産に頂いた、高麗人参キャンディを思い出したからかもしれなかった。

 残業の果ての帰宅途中、カッとなってビーフィータジン47度750mlを購入した。反省はしてない。俺に酒を飲ませろ!
 ジンのトニック割を飲みながらこれ書いてる。喉の奥が熱い。くるりの『ばらの花』のイントロで危うく泣きかける。音が、僕のどっかそこらへんに染みる。『東京』も染みる。電話したいと思っても携帯電話とかなさそうな感じがとても好き。あと今日は『ワールズエンド・スーパーノヴァ』の歌詞が唐突に口から漏れ出でた。「僕は風になる すぐに歩き出せる 次の街ならもう名前を失った 僕らのことも忘れたふりして」

*

 そろそろなくなるかもしれない平日休み。
 午前中は寒中見舞を書いた。去年送ってくれた人には喪中のお知らせを出したんだけど、それでも四枚ほど年賀状を頂いたので。一枚ずつ色鉛筆で絵を描く。黄色とか赤とかオレンジは控え目に、基本青、時々緑の寒色系。筆圧を軽めにして何度も走らせる、その動作とか、そうしている時間が好きだ。年に数回の貴重なお絵描きタイム。三枚でネタが尽きた。四枚目は何度も書き直した。それにしても喪中のお知らせは全部プリンタだったのに、なんだろうこの力の入りようは……。
 午後、地下鉄にゆらり揺られてカフェに行った。ランチ終了ギリギリの時間に入店し、カレーを食べた。予想していたよりもスパイシーで美味しかった。今度はハンバーグを食べようと思う。食後にコーヒーを頂く。店長さんに「ちょっと変えたんだよ。前より飲みやすくなってると思う」と言われたけれど、残念なことに僕の舌では違いがわからなかった。手渡しで年賀状を頂き、手渡しで寒中見舞を差し上げる。手描きの絵をスキャナで取り込んで、イラレとフォトショで加工するやり方を教えてもらう(スキャナがほしくなった)。午後三時ののどかな光の下、前の通りを自転車のおばちゃんやらトラックやらが通り過ぎていくのを見る。のんびりとした雰囲気が心地よかった。
 線路の高架沿いを歩く。川の水の上を滑る鳥。いったん潜るとなかなか上がってこなくてびっくりする。成城石井でズブロッカ700mlがまた値下げされているのを見る。今度行くときに、美味しいリンゴジュースと一緒に買おう。
 それから、仕事先の先輩たちと飲み。休みなのに仕事場の近くに行くのは不思議な感じだ。行ったのは焼酎が大量に揃っているお店だった。焼酎のメニューがエクセルで作られていて、A4の紙に表がびっしりで10枚くらいあった(たまに打ち間違いとか、エクセル特有の文字切れとかあって笑える)。米焼酎を頼んだら辛口の日本酒みたいで最高に美味しかった。僕は焼酎はあまり飲まない。

 科学館の近くをよく通るんだけど、プラネタリウムが改装工事中で見ていて楽しい。でかい銀色のボールが少しずつ形を成していく。しかもちょっと高いところに造られているせいで、まるで浮いているかのようだ。あそこだけSFだ!とか思った。高層ビルの合間に覗く近未来。完成したら絶対に行く。

ちょっと前のこととか

 拍手ありがとうございます。

*

 いろいろあった。
 具体的には、兜をかぶった猫に会いに行ったり、CDとか眼鏡とか服とか買ったりした。仕事、人間関係で思うところもあるけど、まとまらないし怖いんでやめる。

 とあるお城へ、兜をかぶった猫に会いに行った。電車で片道一時間。トンネルを抜けたら雪国だった。道路脇に積もった雪をざくざく踏みながら歩く。日曜日の朝十時半、天気は曇り。駅前から伸びる通りには観光客しか歩いていないように思われた。とにかく寒い。堀のそばの茶屋で酒饅頭と葛湯と団子を頂く。そして城へ。敷地内に積もった雪が溶けかけていて、地面はどろどろだった。やぐらとかを見るのにいちいち靴を脱ぐのが寒くて仕方なかった。十二時の鐘を突くところに居合わせた。ちょうど晴れ始め、後光が差していて神々しかった。城の内部は木の組み方が見ていて楽しかった。曲がった木がそのまま梁とかに使われていた。やぐらもそうだったけど、銃を出す隠し窓とか隠し部屋とかがあって、とにかく戦のことを考えて作りましたって感じがした。結局一度も攻められなかったのはいいことなんだろうけど、建てた人たちはちょっとがっかりしたんじゃないかと思った。
 地面がどろどろでどんよりと曇っていたせいか、兜をかぶった猫には博物館の中で会うことになった。僕としては、遠くから眺めるくらいでいいかーくらいに思っていたんだけど、博物館の前に行ったら列ができていて、係りのお姉さんが「猫に会う方はこちらに並んでくださーい」とか言っている。並ばないと会えないとかどういうことなんだ。それでもおとなしく並んで待っていると、時間が来て列の前から順に博物館の中へ入るように言われた。そして通された場所は、一度に50人くらいしか入れない講堂。講堂に入って係りのお兄さんからいくつか注意事項の説明があった。「非常にデリケートですので、線より前には出ないで下さい。お触りも厳禁です。ツーショットなどもご遠慮下さい」とのこと。なんというVIP、と思わず苦笑いする。しかし、いざ扉が開いて猫が講堂に入るや否や、僕は五年くらい使っている携帯で初めて動画モードを起動し、しっかりその姿を記録してしまったのであった。
 それから博物館で刀とか能面とか見て、来た道を引き返して護国神社の敷地内のカフェで遅いランチを食べ、寒い寒いと言いながら庭園を見て、お土産を買いに行こうと江戸の町並みを再現した通りに向かったらもう日が沈んでいた。昔ながらの和菓子屋さんで猫の人形焼を買い、お土産屋で金太郎飴みたいな猫の飴を買い、著作権の問題で争っているらしい「よい猫」のお菓子も買った。なんというか気づいたら猫の土産しか買ってない。人形焼の店でほかの和菓子を買えばよかったと後悔した。これが猫の魔力か、ひ○にゃん、恐ろしい猫。あと、七時くらいにほとんどの土産物屋が閉まってしまったのでもっと早く買いに来るべきだったと思った。とくに猫のクリアファイルが手に入らなかったのは悔やんでも悔やみきれ以下略。

 CD買った。
 サカナクション『アルクアラウンド』は感想書いたとおり。
 相対性理論『アワーミュージック』は最初聞いたときそんなに思わなかったのに、もはや『スカイライダーズ』のイントロの「ラララ」が脳内でエンドレスリピートされるレベルに。相変わらず中毒性高い。個人的に、『アワーミュージック』はremixが、『BLUE』はstrings editが好み。特に前者は心地よいノイズトロニカでいい感じ。相対性理論はエレクトロニカ方面に行ってもいいと思う。
 Shuta Hasunuma / wannapunch!は試聴して、前作Pop Ooga同様に気持ちよかったから買ってしまった。ライブレコーディング。Door Of The Cosmos Repriseの合唱が、いい意味で「うわぁ」ってなる。
 Daisuke Tanabe / Before I forgetはジャケに惹かれ、試聴して惚れた。次の予想ができない音の運び。初めてエレクトロニカと言われる音楽に触れたときの、未知なものに対するワクワクする感じが蘇った気がした。1st Albumとのこと。またしても塔盤の試聴コーナーで良い音楽に出会えたな、衝動買いしてよかった、と嬉しくなった。

 眼鏡買った。
 前に買ったのがもう五年ほど前で、最近夜の車の運転が不安になるくらい視力が低下してきているので買い換えた。フレームはまた銀で、前より白い。視力検査をやるときに自分が見ているものが本当に文字なのかどうかがわからなくなって、眼鏡屋のおじさんに苦笑いされた。眼鏡をかけたら全てがクリアで明るくなって驚いた。なんでもない大通りで、テールランプと街灯がきらきら光るのがきれいだった。車を降りて路地に入ると星がたくさん見えた。星ってあんなにも小さかったんだあんなにも遠かったんだなあと思った。


* 今日の音楽紹介
Daisuke Tanabe
二十代中頃に渡英、音楽の道へ入る。雨音や咳、タップダンスなど日常の音に着想を得て、その音感を素直にエレクトロニクスに反映。ピュアな音楽スタイルで好感を集めている。(Amazonより)
心地よいノイズ含むエレクトロニカ。緻密な音の粒子が、予測できないパターンで降ってくるのが癖になる。
モノクロのビル街を歩いている。ビルの壁面には木の幹、道路には川の写真が大きく引き伸ばされて貼り付けてある。顔が一部分欠けた人たちがせわしなく動き回っている。角を曲がると唐突に目の前に海が広がり、そのまま真っ逆様に落ちていく……というような、どこか夢の中の光景に似た、シュールなイメージが浮かんだ。
MySpace

アルクアラウンド

アルクアラウンド(初回限定盤)アルクアラウンド(初回限定盤)
(2010/01/13)
サカナクション

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 買ってきましたよー!

1. アルクアラウンド
 サビに入った瞬間の開放感が癖になる。相変わらず、突き抜け方が半端ない。
 最初から最後までシンセが目立つ。キンキンに尖ったような音が好き。最初から最後までベースがいい仕事をしていらっしゃる。それまでおとなしくしていたギターが、サビの途中からぐわっと前に出てくるところがかっこいい。ドラムは左から右に落ちていくタムが好き。
 あとはPVがかっこいい(リンク先はYouTube)。見入ってしまう。文字がぴったり合う瞬間がどきどきする。特に2:10以降が好き。前半は少し飛ばし気味に感じた。

「歩き始める」という歌詞は一見ポジティブなように思われる。歩き回って新しい場所へ進んでいく、そういう希望的な意味に取れなくもない。
 ただ僕は、その詞がのせられた旋律がどこか憂いを帯びているように感じた。そもそも最初に歩き回っているのは、「この地で 終わらせる意味を探し求め」ているからであり、その時点でポジティブとは言い難い。それに、「何を探し回るのか」「何が不安で何が足りないのかが解らぬまま」に、「疲れを忘れて」歩く、というのはなんだか少し怖くないだろうか?
 歩くことは生きること。常に孤独を抱き、ときに誰かに惹かれてもまたすぐ離ればなれになる。あたりにはものが溢れていて、そこに生じる大きなうねりにのみこまれ、流されていく。理由も目的もわからずに歩き回る。そういった「僕ら」の生き方に対する憂いや悲しみなんかが、この曲のテーマなのではないかと思った。
 アッパーチューンに憂いをのせて歌うとか、本当にサカナクションはかっこいい。

2. スプーンと汗
 ダウンテンポで、もやがかかったような音が印象的。「うつむき嘆く人々の心内を〜」の詞と音が凄い。鳥肌がたった。

3. ネイティブダンサー (Rei Harakami へっぽこ re-arrange)
 素晴らしいエレクトロニカ。
 ボーカルはそのままなのに、まるきり違う曲だ(re-arrangeってもともとそういうものなのかな?)。特にサビの後ろの音がボーカルのメロディラインとうまくずれていて、浮遊感を生んでいる。ふわふわと部屋の中を漂い、ゆるりゆるりと回転し、さかさまになったりしながら歌っているようなイメージ。目を閉じて聞いていると自分がどこにいるのかわからなくなる。心地よい。

4. “FISH ALIVE chapter 2”1 sequence by 3 songs - SAKANAQUARIUM 2009 @SAPPORO
 ライブでの『ネイティブダンサー』『セントレイ』『アドベンチャー』の三曲で、合計14分。
 ライブならではのノリがひしひしと感じられ、聞いていると思わず頭を振ってしまう。右手を振り上げて飛び跳ねたくなる。爆音のベースが嬉しくて、ドラムのアドリブが楽しい。やっぱり『セントレイ』はライブ向けの曲だなと思った。


* オフィシャルサイト MySpace

* 今までに書いたサカナクションの感想
『GO TO THE FUTURE』『NIGHT FISHING』『セントレイ』『シンシロ』

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Author:さぼてん
20代 男
中部地方在住

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