マルドゥック・スクランブル
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| マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 冲方 丁 (2003/05) 早川書房 この商品の詳細を見る | マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 冲方 丁 (2003/06) 早川書房 この商品の詳細を見る | マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 冲方 丁 (2003/07) 早川書房 この商品の詳細を見る |
やっと三巻揃ったのでまとめてご紹介。
なぜ、私なの?――賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった……弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動!(1巻の裏表紙の紹介文より)
SFハードボイルド。
死体から作ったダイヤを指に嵌める薬漬けの男。男に殺されかけ、特異な能力を得てしまう少女。喋る金色のネズミ。髪の毛まだら模様の博士。殺人兵器と化した元軍人。人体蒐集家。
1巻の終盤のアクションシーンが大好きです。力に酔って、ぶっとんだ精神で、銃を乱射するのが痛々しくて良い(不快に感じる人の方が多いかもしれませぬが;)。アクションシーンの描写ってバランスが肝心だと思うのですが、くどすぎず軽すぎず、読みやすくて興奮する絶妙のバランスが素晴らしいです。
2巻では深い知識に圧倒され。(貸し出し中のため読み返せないので詳しくは書けませんが、科学技術の有用性とその方向性についてだったはず。結局は快楽の探求・欲望の充足、になるような気がするんですが……ああもどかしい。)
2〜3巻にかけてのカジノでの駆け引きの緊迫感も良いです。カジノ側の切り札とも言うべき男とのブラックジャックの勝負は、読んでいて苦しくなるけれど読むのを止められない。あとがきで冲方先生が「吐きながら書いた」シーンというのは、多分このあたりなんだろうなぁ……。なんというか、苦しみながら書かれた部分というのは、その苦しみが読む側にも伝わると思う。文章から凄まじい気迫が伝わってくる。なかなかそういう文章に出会うことは稀で、そういう文章を書ける冲方先生は本当に小説家なのだと思う。
自信を持って薦めたい、凄まじい本です。
登場人物はみんな好きです。でも一番印象に残っているのはボイルドかな。彼の空っぽの中の、唯一の温かさ、そしてそれを手に入れる手段として彼の取れる手段が、力しかないというところが切ないです。
『カオス・レギオン』もそうですが、冲方先生の物語には悪い人が少ない気がします。悪とは人に対するレッテルではなく、行為に対するものなのかもしれません。
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