イハーブの生活
![]() | ![]() | ![]() | イハーブの生活1〜3 (アフタヌーンKC) 小路 啓之 |
むかしむかしマリーとエリーというお互い愛し合う女性がいました
二人は毎夜愛し合うのですが子供が一向にできません
それもそのハズ 二人には肝心の種がありません
そこでエリーとマリーは貯金をおろして種を買いにいきました
二人はジャンケンで卵係と子宮係を決め
めでたく子供は生まれましたが二人はすこしがっかりしました
だって女の子が欲しかったんだもの
でも生まれてきたものはしかたありません
とりあえずイハーブと名付けました
「それが僕なんですよ刑事さん」(冒頭より)
主人公イハーブほか、何人もの個性の強い登場人物が立ち回る、ややドタバタなハードボイルド。男と女から始まり、親と子、生と死、善と悪、聖と俗、条理と不条理に至るまで、多くのテーマが全3巻にぎゅっと詰め込まれている。なんというか、盛りだくさんだ。
読んでいて気持ちいいのは、テンポのいい展開と気の利いた台詞回し、また線の細いファンシーな絵柄やところどころ差し込まれる幻想的な映像が、いい意味で「軽さ」を生んでいるためだろう。その軽さが一つの武器になっている。なんでもなさそうに振り回しながら、持った手が潰されるほどの重いテーマを読者に渡してくる。そのギャップはときに暴力的にすら感じられるため、そういう面で好きになれない人もいるかもしれない。(顕著に感じたのは2巻の後半、突入シーンからの流れで、個人的にこの物語のメインだと思っている。)
あと、大きなポイントになっているのは感情だろう。主人公のイハーブは、達観しているような、どこか冷めた目線でもって物事を眺め、受け入れている。その姿勢は、人間の醜い部分を描き出す物語全体の姿勢とリンクしているように思える。そういった中に、片腕の泥棒ガンズや母親のマリー、警官のトニー谷田のような、比較的真っ当な感情の持ち主が入り込むと、彼らの台詞や行動は浮き彫りになったかのように際立ち、大きく響くように感じられるのだ。
各和のタイトルが食べ物になっている、というのも面白い。タイトルの食べ物が必ず作中に出てくるのだ。一番好きなのは3巻の「ウーロン」かな。
マリーさんが面白すぎる。ちょい役だけど、ワルさんことワルワルダムがデザイン的にもキャラ的にも好き。好きじゃないけど印象に残っているのはヤハベ。かなりおいしい位置にいると思う。
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