新世界/死闘

 拍手をありがとうございます。そろそろトータル拍手数が100いきそうです。感謝。

 仕事場から帰る途中、自転車で普段通らない道をふらふら走っていたら、リボンシトロン500ml缶を100円で売っているところを発見した。これで二箇所目。今まで買っていたところはちょっと遠いので、仕事帰りに買って帰れるのは嬉しい。思わず二本買った。さらに、近所の伊藤園の自販機で天然水サイダーだけ100円で売っているのを見つけてそれも買った。冷蔵庫の中がサイダーだらけだ。今年入ってからのサイダーの消費量は、今まで生きてきた中で最も多いに違いない。

 新しいヘッドフォンで音楽を聴く。新世界到来。特にエレクトロニカの音の透明度が上がって気持ちいい。今までいかに粗末な環境で音楽を聴いていたかを再認識した。きつすぎるイコライザ設定を調整する。非圧縮音源で聴くともっとすごいのだろうかとわくわくしながら、今のところはmp3を聴いている。というか今、一曲当たりの容量を上げると、ハードディスクの空き容量がなくなってしまう。外付け買うか。
 やっぱり、つけたまま寝てしまいそうになるのが怖い。


 結局寝落ちした。ヘッドフォンは意識がなくなる直前に外した。
 午前四時、何かが腕に触るような感じがして目がさめた。腕を確認するが特におかしなところはない。寝ぼけた頭で「あー寝ちまったー」と思っていると、
 ふくらはぎのあたりで、うねうねとうごくものが。

 ムカデ!

「うわー!」と叫び声を上げて寝間着の下を脱いで放る。Tシャツ+下着姿という情けない格好で自室を出、先日買った「這う虫用 瞬間凍殺ジェット」を取りに行く。部屋に戻って、寝間着をつついたり、布団をばさばさとはたいたりするが、ムカデの姿はない。どこに消えた、と思って振り返ると、奴は悠々と壁を這っていた。
 喰らえ、凍殺ジェット!
 ぷしゅーという音と共に噴出する白い煙。奴は壁から足を離し、下に落ちた。
 ガサッ
「あ」
 そこには、貧乏性ゆえに取っておいた、もらいものの紙袋が。中で這い回るムカデ。がさがさがさがさ、かさかさかさかさ、という音に鳥肌が立つ。
 長い時間をかけて精神を落ち着かせた後、紙袋の中のものを一つずつ取り出す。青い布製のかわいい袋に入った、去年のクリスマスプレゼント。三月に奈良に行ったときのパンフレット四枚。塔盤のビニル袋。さらに折りたたまれた紙袋。半分以上取り出したところで違和感を覚える。おかしい、もうそろそろ奴の姿が見えてきてもいいはずなのに。しかも紙袋をいくら揺らしても反応がない。これは、まさか……。青い布袋は、口をリボンで結べるようになっているのだが、見てみると少しだけ開いていた。おそるおそる袋を開き、中を覗き込む。
 ご対面。
 喰らえ、凍殺ジェット! ぷしゅー
 袋の内側、青い色の布に霜がつき、奴の細長い体の半分が白く固まった。残り半分が苦しそうに震えながらうねる。さらにスプレーを噴射する。
 奴の息の根が止まったことを確認。あとはどうやって袋から取り出すかだが、いくら袋を逆さにしたところで、出てくるのは使うのがもったいなくて入れっ放しだったプレゼント各種と、飾り付け用プラスチック製のベルだけだ。泣く泣くかわいい袋を諦め、奴と共に焼却するべくダストボックスへ。さらば青い袋、お前のことは忘れない。
 それからしばらく、ヘッドフォンのコードとか、買ったときについてるコードまとめる帯(?)とか、色々なものがムカデに見えて仕方がない。あとは腕に何か触れると過敏に反応してしまう。からだじゅうが痒い。落ち着こうとお香を炊いて、買ってきたリボンシトロン飲みながらこれを書いている。しばらくは、凍殺ジェットを枕元に置くことになりそうだ。

 すっかり目がさめてしまった。外が明るい。明け方の空気と空の色が好きだ。今日はこのまま起きていよう。

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Author:さぼてん
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