薄っぺらい皮一枚
向こうの部屋に 明かりが見えた
向こうの部屋は 誰もいないよ
(Shugo Tokumaru / Typewriter)
なんか聞いてると毎回ぞくりとするフレーズ。
コンポやカーステレオで聞いた後で同じ曲をヘッドフォンで聞くと、それだけで幸せになれる。あと、最近聞いてなかったアーティストの曲とか久し振りに聞くと、あまりの音の変わりようにテンションがぐっと上がる。「うわーすげークリアだ!」とか「ギタァのアルペジオが美しい……」とか「イコライザ効きまくってベースぶんぶんいってるしなんだこれ!」とか思って、夜中に頭ぶんぶん振ったり、一人うっとり聞き入ったりしてる。新しく聞く曲についてはあまり思わないのに。
土曜はチーズオムライス食べた。目の前に出された瞬間からすごいクリームの匂いがした。美味しかったけど、白くて可愛らしい見た目とは裏腹に、けっこうコテコテだった。逆に、ぱっと見はコテコテに見えるオムハヤシを一口頂いたら、こちらは案外あっさりしてて驚いた。ワインの香り。
八時くらいに夕飯を食べて、九時くらいまで話を聞いて、それからだだっ広い本屋に行ったら途中で照明が落とされた。十時閉店とのこと。立体駐車場に行ったら自動ドアを出ることはできても入ることはできないようになってた。十一時までやってるカフェとかで帰りの渋滞をやり過ごそうと思ってたのに。
日曜はスタバでカフェモカ飲む。そして人間観察しながら色々考える。
「男女が混ざった三人のグループはどうしたって三角関係になる」
「そういえば男女比2:1はよくある気がするけど、1:2ってあまりないよね」
「女の子二人だとバランスが危ういんじゃない?」
「そうか……そうかもね。じゃあ、四つ掛けの席があって、好きな異性が一番奥に座ったとき、どこに座る?」
「うーん、向かい側かな。今聞いて思い浮かんだのが、好きだけれどそんなに近い関係ではない、という感じだから。いきなり隣に座るのは近づきすぎだろう。相手もびっくりするし、他にも一人か二人いるわけでしょう? まあ仮にその子と付き合ってたとしても、僕の場合は向かい側だな」
「三人のとき、斜め前って選択肢はない?」
「えーと、奥から詰めるから、やっぱり向かい側かな。斜め前に座っちゃったら、必然的に次に来る人が彼女の隣になりそうじゃない?」
「じゃあ、女の子が奥に座ってて、男の子がその隣に座ってても、女の子の向かいの席に座る?」
「いや、その場合は男の前かな……。でもそれは、なんというか、考えにくい状況だね。えっと、二番目に座った男は彼氏なの?」
「うーん……微妙なところ。たぶん女の子のことが好きなんだとは思う」
「うわー、付き合ってるわけじゃないけど、あからさまなんだ……それは、居づらいね」
「そういう状況が、現に君の斜め後ろで起こっているのだよ。ただし性別は逆でね」
「え……珍しいね、その組合せ」
服を買おうか悩んでまた今度。最近ボタンシャツばかり着ていて、毎日のようにアイロンをかけているから、できるだけアイロン掛けしないで済む服にしたい。でも着たことがない服を買うのは躊躇ってしまう。
全て僕の妄想なのではないか。空は薄っぺらい書割で、雨が降った後の蒸し暑さとか、風が肌を撫でるときの涼しさとか、そういった感覚は全て偽物なのではないのか。目の前にいる誰かを始め、さっきすれ違ったカップル、今カウンターの向こうで談笑している店員二人、元気に駆けていく子供と「気をつけてよ」という母親、彼らは本当は僕の頭の中にいるだけで、結局全て僕の独り言なのでは?
閉塞的な思考。現実と妄想を隔てているのは、薄っぺらい皮一枚だけだ。
| 過去 << 探し物を見つけに | | 最新 | | ウルトラバロック・デプログラマー3 >> 未来 |


