センネン画報

センネン画報センネン画報
(2008/05/15)
今日マチ子

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 普段は決してしない、ブラウザを画面いっぱいに広げて、クラムボンの歌を聞きながら、台詞のないマンガを読む。水の中で漂うような光景を眺める。そうやって僕の中に幽閉された、もろく崩れやすい部分に水をやる。この人の青色を呼吸したい。喉が潤っていく。
 以前の日記の冒頭より。今なら相対性理論かな。

 今日マチ子さんのブログ『センネン画報』に掲載された、ほぼ一日一ページのマンガを集めたもの。描き下ろし『海から36km』収録。
 森見登美彦さんの「こんなにどきどきするのはなにゆえか!」という帯と、淡い色使いの表紙に惹かれ、ネットで検索したら公式ブログがあるじゃないですか。開いてみたらなんという素敵世界。ものの二秒で惚れました。まさに、「こんなにどきどきするのはなにゆえか!」

 水のりや毛皮の手触り、ハンドクリームや花のにおい、握った手の温度。吹き抜ける風、水の中で吐く気泡、ぼんやり光る蛍と外灯。彼の表情、彼女のしぐさ、二人の距離。可愛らしさに頬が緩んだり、面白くてくすりと笑ったり、シチュエーションにどきりとしたり。
 想像をかき立てられ、思い巡らせているときが、とても幸せに感じられる。
 どのページを開いてもふわりと浮かぶような心地がするのは、美しい感性でもって淡く彩られた絵から抽出される、ひとしずくの感情や感覚が、あまりにも澄んでいるからだろうか。そのひとしずくは、自分の奥深くまで落ちていって、水面に小さな波を立てる。波紋はあっという間に水面いっぱいに広がり、反響して大きくなっていく。大きな感動が、そっと心を宙に浮かせてくれる。

 モーニング公式サイトで連載している『みかこさん』は10月に単行本が出るそうな。作中、「リロン」という名前で相対性理論が描かれている(ほかにも、「せんねんもんだい」とか「田田田」とか)。こちらも楽しみ。

 それにしても僕のアンテナは一年遅れなのか……。あまりに鈍すぎる。

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