きつねのはなし/陽気なギャング

きつねのはなし (新潮文庫)きつねのはなし
(新潮文庫)

(2009/06/27)
森見 登美彦

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『きつねのはなし』『果実の中の龍』『魔』『水神』の四つの作品から成る。それぞれの話に「芳蓮堂」という骨董屋と「けもの」の存在が共通しているが、一冊が一つの大きな作品としてまとまっているわけではなく、短編集のような感じ。
 どれも、背筋がぞっとするような、静かな怖さをたたえた話だった。『太陽の塔』や『四畳半神話体系』、『夜は短し歩けよ乙女』などの、笑いを誘う話とのギャップを感じ、ううむやっぱり凄いな、と唸ってしまった。妄想と現実を混ぜ合わせる手法は、今回も健在といったところ。先に挙げた三作品はその手法に光を当てたもので(光の明度は違えど)、この『きつね』はその手法を闇に潜ませたもの、という感じだ。
 最後に読んだということもあり、今は『水神』の印象が強く残っている。


陽気なギャングの日常と襲撃(祥伝社文庫)陽気なギャングの
日常と襲撃
(祥伝社文庫)

(2009/08/30)
伊坂 幸太郎

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 なんだか、はっちゃけたテンションの伊坂作品を読んだのは久し振りな気がする。しみじみとする『終末のフール』と、なんだか不穏な雰囲気漂う『魔王』を読んだあとだからかな。
「日常と襲撃」というタイトルの通り、それぞれの日常での出来事がまず語られ、彼らの仕事である銀行強盗、その現場で見かけた女性が他の事件とリンクして、という流れになっている。あとはオマケで「日頃、悪いことばっかりしてるから、時々、どうでもいい人助けをしたくなるんだよね」という話。伏線使いとして名高い(?)伊坂さんだが、今回もまた然り。「日常」の四話の中に、「襲撃」以後の本編への伏線が散りばめられている。
 前作『地球を回す』と同様、とにかく登場人物たちの会話が楽しい。今回は響野と久遠のかけ合いが特に多かった気がする。成瀬の冷静なツッコミと違って、より一層デコボコしていた。久遠がときどきずれた発言したり、妙なこだわりがあったりして、響野が逆に引くところとか。とにかくキャラが立っている。雪子さんかっこいい。
「ボブ・ディランを泣けるくらい上手に歌う甥」のエピソードは『アヒルと鴨のコインロッカー』だよなあ。こんなところでリンクしてたっけ。

 成瀬と響野の会話で、
「いつも田中の情報や道具に頼っていると、またか、と思われるかもしれない」
「誰に、思われるんだ!」
というのには笑った。

本の紹介 - 小説・文学


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