People In The Box / Ghost Apple

Ghost AppleGhost Apple
(2009/10/14)
People In The Box

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 相変わらず美しい音と声。色つきのフィルムをかけて撮影されたシーンを、一枚ずつスライドさせているような映像が思い浮かぶ。
 アルバム一枚で一つの物語が構成されている。恋人である「彼女」を失った「僕」が一つ一つの場面を思い出しているような、そんなイメージ。美しい映像でありながらも痛々しくて救いがないのは、全ての場面の裏側に彼女の喪失が透けて見えるからだろう。タイトルにつけられた曜日が何度も繰り返されることを暗示していて、一層救いがない。

 ハタノさんの澄んだボーカルが好きだ。

1. 月曜日 / 無菌室
 穏やかに始まる。「――――ようこそ ここは舞台で女優が消えた場面さ」「フィルムは回った 逆さに」の歌詞が、このアルバムの物語を端的に表している。

2. 火曜日 / 空室
 断片的な言葉の連なりは、誰も居ない部屋に残されたものたち。焦燥感を募らせるように速いテンポ。後半の轟音は、喪失そのものだ。
 アルバム内で最も好きな曲。

3. 水曜日 / 密室
 ジェットコースターのような曲調。ぐるぐると回ってはしゃぐ二人と、追い詰められていく感覚、振り返ったあとの呟き。勢いよく展開する場面の中で「いつか結婚しようね」がふわりと浮かぶ。

4. 木曜日 / 寝室
「寝苦しくて目覚めたら豚が僕に馬乗り」から始まる、なんとも不穏な曲。水槽の中で、歌詞に登場するものたちが漂っていて、自分だけが底でそれらを見上げているような、シュールな映像。サビの「これ誰かの夢だ!」という言葉と、歪に割れるような音に閉塞感を覚える。
 気がつくのこの曲がぐるぐる頭に回っている。

5. 金曜日 / 集中治療室
 喪失を思わせる歌詞なのに、最後の突き抜けるような明るさはなんだろう。
「めちゃくちゃにしてやろうよ」からの盛り上がり方が好き。

6. 土曜日 / 待合室
 アコギの音が染みる。抜け殻になってしまった男が、座り込んで、虚ろな目をして見る夢。淡い光が空から降ってくる。

7. 日曜日 / 浴室
 何よりもラストの彼女の言葉が深すぎる。


* People In The Boxについて
 スリーピース・ポストロックバンド。ポップなメロディを歌う透きとおったボーカルと、変拍子や癖のあるコード進行などが絶妙なバランスを保って一つになっている。難解な歌詞によって描き出される物語世界も独特だ。幻想的であったりシュールであったりする中に、ややサディスティックで心地よい毒をもった棘が生えている。

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