来ない電車を待つ

「ごみ箱」という名のサイトをお気に入りに登録していた。久し振りにそのサイトを訪れてみると、閉鎖したのか「ページが見つかりません」と表示された。ああ、また一つ好きなサイトがなくなってしまった。寂しさを抱えながら、お気に入りから削除する。デスクトップの隅に置かれたごみ箱が膨れ、右クリックして「ごみ箱を空にする」を選ぶ。
「'ごみ箱'を削除しますか?」
 僕はほとんど反射的に「はい」をクリックした。すると、デスクトップ上の「ごみ箱」が跡形もなく消え去った。
「ん? なんか消えたぞ?」首を傾げる。しかしすぐに、「まあ、再起動すればすぐに直るだろう」と思い直して、さっきまでと同じように鼻歌を歌いながらネット上の記事を読み漁った。
 そのときはまだ気づいていなかったのだ。ごみ箱が消えたあの瞬間、増殖する無駄なファイルを削除できない、地獄のような日々が始まったことに。

 冒頭に特に意味はありません。はい。

 ミクシのPeople in the Boxコミュで、歌詞解釈スレがあったので覗いてみた。Ghost Appleの解釈があって、読みながらああなるほどと納得し、目からウロコが落ち、感心しきりであった。そうして自分の感想を読み返してみると、自分の読解力の乏しさにほとほと嫌気がさした。
 そんな夜中。左手にはジンのペリエレモン割り。ライムの方が好きかな。

 もう感想書いたけど、小路啓之さんの『来世であいましょう』を買った。
 同じ本屋で今日マチ子さんの『100番目の羊』を探したんだけど、どうにも見つからない。でも検索かけると在庫はありになっていて、置いてある場所はスタッフにお尋ね下さいときた。スタッフさんに尋ねてみたら、なんと彼は少女漫画の棚に向かっていくではないか。蛍光ピンクの帯のついた漫画を手渡される。「少女漫画だったのか……」と頭の中で呟き、スタッフさんに礼を言ってレジに並ぶ僕。かくしてオタクなメガネ男子は生まれて初めて少女漫画を購入する運びとなったのである。
 いやな汗をかいた。ネット上で一回読んでいるのだが、改めて読むと確かに少女漫画だった。しかも帯の文句は「こんな少女漫画が読みたかった」。いや、別に僕はそういうわけではなく……今日マチ子さんの絵と色が好きなのであって……ごにょごにょ。

 平日に遅くまで飲んだ。
 地下鉄に乗ったら、豆乳にジャックされていた。壁も吊り広告も全て豆乳。それにしてもなぜよりによって豆乳なんだ。そんなに広告に力入れてるのか豆乳。
 ちなみにそれは終電だった。家の最寄り駅までは一度乗換えをしなければならない。僕は乗換えの駅で電車を降りて、ホームで電車を待った。いしいしんじさんの『ぶらんこ乗り』のラストを読んで涙ぐみながら。ああこれなんでこんなところで読んじゃったんだろうおかげで泣くに泣けないじゃんか、とか思いながら。なかなか電車が来なかったのだが、しばらくして反対方向の電車が来た。しかもアナウンスは「……行きの最終電車です」と言う。あれ、おかしいな、と思って「まもなく列車が来ます」という電光掲示板を見ると、掲示板の電気が消えていた。
 つまり、もう電車がなかった。僕は来ない電車をずっと待っていたのだ。もちろんホームのこちら側に立っているのは僕一人だけ。
 僕は少し恥ずかしくなりながら階段を上り、改札を出た。そこから家の最寄り駅まで、二駅分歩いた。深夜の歩道は寒かった。

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Author:さぼてん
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